『マトリックス・リローデッド』は、何じゃこりゃの連続で、「あほらし屋の鐘」の連打だった。

マトリックスの続編である。スローモーションとファストモーションの連続である。最大の見せ場はカーチェイスのようだが、◆◆ネタバレ注意◆◆これがまぁ、不死身の追っ手から逃げるという不条理なもの。ほとんど「シジフォスの神話」状態だ。
 
相手は弾が当たりそうになると、瞬時に実体がなくなる双子の死に神のような奴だから始末が悪い。元々バーチャルワールドなんだから、実体があるのかどうかすら疑問だが、やられそうになるとすっと消えるのは、あまりにもご都合主義的な変身パターン、今や変身もの映画の禁じ手と言ってもいいのじゃないか?
 
このカーチェイスシーンは、わざわざ2.5キロもの長さのハイウエーをつくって、そこで撮影しただけに監督のやりたい放題。これでもか、これでどうだの、はちゃめちゃぶりだが、これとTAXIの激走とどっちが好きかと考えると、私は後者の方が好きだったりする。
 
それに、誰でも自分の分身にしてしまえるエージェント・スミスとデブの親爺とのトレーラーの屋根の上での格闘シーンも、いろいろやってくれるのだが落ちっこないのが見え見えだからハラハラ感はない。昔の西部劇では列車の屋根の上での格闘シーンがひとつの見せ場だった。あれは本当に落ちそうで、ハラハラさせるのが目的だった。
 
絶対に脱線しないことを約束されているジェットコースターに乗っている感じと言えば、何となく当たっているか?いっそどこかの物置屋のCFみたいに屋根の上に100人のスミスがのって、デブの親爺がそいつらをちぎっては投げ、ちぎっては投げってやってくれた方がおもろかったかも・・・。◆解除◆
 
それにしても、この映画は若い衆には気に入られているのかしら?カルトムービーというジャンルがあるにはあるが、一部のマニアックなファンは熱狂的に支持しているけれど、一般人にとっては意味不明なマイナー映画がカルトの定義か。この映画も訳がわからない度では、充分カルトムービーだろうが、製作費の掛け方が半端じゃないところで、少し?マークがつく。こんなに金を掛けて、さっぱり分からない映画を作るっていうのは、どういうこと?ハリウッドも近頃ネタ不足で、なんでもいいから客を呼べそうなアクションシーンてんこ盛り企画だったら、とりあえずオッケーということか。しかも、莫大な宣伝費を掛けて、大々的にロードショウ封切りをやるんだから、なんか変?
 
◆◆ネタバレ注意◆◆それにつけても、この映画、カンフーシーンは冗長すぎるし(いつまで経ってもお互いにやられないのだったら、最初から戦うな)、無意味なセクシー・シーンをやたら挿入するし(これって誰向けのサービスカット?男向けではなくキアヌ・リーブス好きの女向けのような気もする。相手役の女優があまり色っぽくないので、なんだかスカスカ感があるけれど)、ネオはなぜかスーパーマンになっちゃうし 、妙な群舞シーンはあるし、このシーンと『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のダンスシーンとでは、どちらが変度が高いか?◆解除◆
 
そういえば『北野座頭市』にもタップダンスシーンがあるらしいが、生憎まだ観ていない。かつてのTVのサラ金のちょっとHっぽいダンスシーンもいい加減にしろだったが、最近は見かけない。と言うか、あの会社潰れたのかも?いずれにしろ、何じゃこりゃの連続で、「あほらし屋の鐘」が鳴り止まない。
 
それと、オープニングの画面の乱れ(?)、あれは以前我が家のDVDプレーヤーが熱暴走したときとそっくりの症状だったので、慌てたよ。