『タイタンズを忘れない』は、観た後でどんな映画だったかすぐに忘れてしまいそうだった。

タイタンズを忘れない』というタイトルなんだが、観た後でどんな映画だったかすぐに忘れてしまいそうだった。ま、どうってことのない映画だけれど、ちょっと地味すぎる。確かに、実話に基づく映画だから、そんなに無茶な展開はあり得ないのだろうが、あまりにもうまく事が運び過ぎたきらいはある。
 
アメリカの高校フットボールというのは、日本の高校野球のようなものらしく、田舎に行けば行くほど、我が町の代表という感じで、応援にも熱が入る。デンゼル・ワシントンは、コワモテの渡りのコーチで、コーチとしての腕はとびきりいいが、我もものすごく強い。高校野球でいったら、池田高校の故蔦監督やら常総学園の木内監督みたいな感じ(ちょっと違うかも)。ヘッドコーチをやってくれと教育委員会から頼まれたのが、アフリカ系アメリカ人とヨーロッパ系アメリカ人の、それぞれが別の高校だったのを合併した新設校だった。
 
◆◆ネタバレ注意◆◆ワシントン監督、前のヘッドコーチとの間に確執があるものの、超スパルタ式で高校生を鍛えあげ、州の大会でどんどん勝ち進む。負けたらヘッドコーチクビにしてやろうと思っていた教育委員会の親爺も、連戦連勝だからどうしようもない。
 
それに、初めのうちこそ、お互い対立していたアフリカ系とヨーロッパ系の高校生たちだが、そこはそれ、子供だからすぐうち解けて、チーム一丸で快進撃を続けると、町の衆のコーチを見る目も変わってきて。。。
 
と、まぁ、物事はいい方に転がり出すと、だんだんよく鳴る法華の太鼓じゃないが、途中ちょっとしたアクシデントはあるものの、うまく行くようになるものだ。それでおしまいの映画だから、観た後に何も残らない。ま。スカッとさわやかと言えば、言えないこともないが・・・。◆解除◆
 
ディズニーの映画だから、当然、濡れ場もバイオレンスもない、あったとしても子供の喧嘩程度だ。たぶん、全米の高校を巡回して、授業時間に体育館で三角座りさせて、見せているんじゃないか・・・。
 
話は変わるが、今時の子供が、電車の中や街中で、じゃがむのではなく、べったりとヘタリ込むのは、学校での三角座りが関係しているんじゃなかろうか?大体これまでの日本文化に、家の中以外で、床に座り込む作法はない。アウトドアでも、花見以外は、床几に座るか、柵とか階段とかの段差のあるとこに腰掛けるのが普通だった。それが、いくら体育館は屋内だからといっても、学校の先生が生徒を床に座らせたのが、間違いの始まりだ。いっそのこと、正座させたらよかったんじゃないかと思ったが、そんなこと日には、日教組やらPTAが黙ってないだろう・・・。
 
メトロポリタン美術館で見かけた小学生の一団は、全員が小さな椅子をもって歩いていた。そう言えば、ヤンキー座りもあまり見かけなくなった。あれも和式便所が少なくなったので、子供があの姿勢を長い間維持するのが、困難になったからだろうか・・・。
 
閑話休題、本題に戻ろう。(どこまでが閑話で、どこからが本題?)きれい事過ぎる映画というのも、ちょっとなぁと思う。この映画の場合も、コーチ同士の汚い駆け引きやら、人種間の軋轢やらをもう少し描いてあった方が、奥行き感が出たんじゃないか?
 
それにしても、あの前ヘッドコーチの9才の娘は、随分フットボールに詳しかった。レフリーの誤審まで見抜いている。あの子は、大きくなってもチアリーダーなんかにはならずに、ばりばりのコーチになりそうだ。さすがに、女子のアメリカンフットボール選手はいないだろうが、女性のコーチはいるのだろうか?
 
タイタンズを忘れない(2000)アメリカ Remember The Titans 
出演:デンゼル・ワシントン、キップ・パルデュー