『アリス・イン・ワンダーランド』は、「こんなものかな」の想定内の範囲を超えていなかった。

19才のアリス役のミア・ワシコウスカという新人の女優さんだが、あまりかわいらしくない。なんというか、ナチュラルな感じはする娘ではあるが、もう少しアイドルっぽい子でも、よかったんじゃなかろうか?ま、あまりロリータ系に振ったら、それもどうかと思うが・・・。西欧人の感覚で観たら、結構おぼこい感じなのか?
 
我ら日本男子が西洋婦人を観賞するときには、ベビーフェイスをもって、美人とするきらいがあるんじゃなかろうか・・・?モンローしかり、バルドーしかり。ソフィア・ローレンなんかは、迫力がありすぎて、たじたじになる感じだ。って、人選が古いけれど・・・。
 
しかし、アリスが「EAT ME クッキー」を食べて、でかくなってからは、割とチャーミングな感じがした。何故何故どうして?実は、でかい女の子が好みだったりして・・・。
 
それにしても、「EAT ME クッキー」を食べても、服までは大きくならないだろう。だったら、びりびりに裂けるんじゃないか?とつっこむのも、大人げないな。ディスニーだし・・・。
 
この映画は、ジョニー・デップの映画なんだろうが、ま、怪優振りはいつも通りだった。しかし、CGてんこ盛りの映画の中では、少々の怪演も影が薄い。まして、マッドハターという役は、はなからマッドなんだから、狂おしく振舞えば振舞うほど、観客としては、冷静に演技を観てしまう。ジョニーデップの踊りというのも、カズダンスと同じで、ちょいとキモい。
 
逆に、赤の女王のヘレナ・ボナム=カーターの方は、本物のエキセントリックな名演だった。ちょいと朝青龍似だったけれど・・・。
 
赤の女王と白の女王の確執というのも、いまいち説明不足だった。事の発端は、赤の姉の方が、白の妹に何か気に入らないことを言われたか、何かされたらしい。頭がでかいことを笑われでもしたのだったら、怒るのも仕方がない。赤の女王の取り巻き連中が、偽りの肉体変造をしているのだが、これはこれで、結構深い意味があった。
 
監督のティム・バートンは、半端じゃないオタクなんだから、もっと、とんでもないワンダーランドにしたかったのじゃないだろうか?この映画のワンダーランドは、ビジュアル的にも、「こんなものかな」の想定内の範囲を超えていなかった。これに較べたら「千と千尋」の方が、まだしもかも知れない・・・。
 
貶してばかりではいけないので、ひとつくらいは、褒めておこうと思ったが、見あたらない。夢落ちの典型的エンディング手法の蝶々も、かなり興醒めだった。
 
「マリス・イン・ワンダーランド」というイギリス映画があるらしい。こっちは、現代物で、やはり大人になったアリス(マリスかも?)が、不条理な世界に引きずり込まれて、わやくちゃにされるというお話みたいだ。このタイトル、カタカナのアとマが似ていることに引っかけた邦題だと思っていたのだが、英語でも「MALICE IN WONDERLAND」と書いてあった。こっちの方が、面白そうだ。
 
出演:ミア・ワシコウスカジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイ