『ファーゴ』は、冒頭で実話に基づいてるとか何とか言っておきながら、どうもフィクションらしかった。

フィーゴは元ポルトガル代表のサッカー選手で、引退後はインテルの幹部に就任したらしいが、こっちのファーゴは地名だった。『シービスケット』で、おかしな競馬中継アナの役をやっていたウィリアム・H・メイシーが主役の映画だと思いこんで観たのだが、全然違っていた。確かにメイシーもなかなか頑張っていたが、この映画は、おかしな顔のスティーヴ・ブシェーミの映画だった。
 
◆◆ネタバレ注意◆◆メイシーは自動車ディーラーの営業部長で、嫁さんは金持ちの娘だ。その義理の父から身代金を騙し取っってやろうと企んで、嫁を偽装誘拐してもらおうと頼んだ相手というのが、いかにもワルそうなふたり組だった。そのふたり組のひとりが、おかしな顔のスティーヴ・ブシェーミだ。私だったら、あの顔を見た瞬間、計画を変更するけどね。◆解除◆
 
しかし、「やめた」と言っても、相手が「そうですか、じゃあ、さよなら」と帰ってくれるとも思えない。このふたり組からねちねち脅され続けるだろう。そうなったらそうなったで、別の映画が出来るかも知れない。いずれにしても、このふたり組が次々に殺人事件を引き起こす。誤算というのは、こういう状況を言うのだろう。一旦動き出したら、もう後戻りはできないのが悪事というものだ。しかし、何とも重いストーリーだった。観た後で、やりきれなさが募る。
 
この映画で、女署長が妊娠8ヶ月の身重だという設定は、別にいらなかったように思う。さらに、納得できないのは、その女署長に会いに来るジャパニーズアメリカン男のエピソードだ。話の本筋となんの関係もない。(つまらんエピソードを挿入するな)ブシェーミは、何度もヘンな顔のおっさんだと言われいたが、この日系人の顔もヘンだった。何故アメリカ映画にでてくる日本人並びに日系人は、総じてヘンな顔なんだ?日本国内にいる限り、日本人の顔もまだ何とか見られないこともない。ところが、アメリカ映画にでてくると、目を覆いたくなる。何故アメリカにいる日系人の役者は、揃いも揃って不細工な奴ばかりなんだ?待てよ。マイク・ヤナギダという役名だったが、俳優の名前はスティーヴ・パークというらしい。パークはパクと違うか?ひょっとして、この親爺、コリアンアメリカン?
 
つらつら思うに、顔の造作に関しては、日本人の特に男の顔は、欧米系とはちょっと勝負にならない。我ら日本男子の大抵の顔は、控えめな小さい目で低い鼻、それでいて、顔がでかい。最近は乱杭歯は少なくなったが、以前は最悪の歯並びをしてる奴が結構いた。その上、ニキビの痕跡で、顔面がでこぼこ道状態。さらに、顔とは関係ないが胴長短足だ。
 
ところで、男の脳は均整のとれた平均的な顔をキレイと感じるらしい。美人というのは、それぞれのパーツが平均的に整っているワケだ。何故平均をキレイと感じるかというと、その方が安心だからだ。もしも、極端な特徴がある女の人との間に子供をもうけた場合、子供にその特徴が遺伝することは十二分に考えられる。
 
しかも、その特徴ある(最近はそれを個性というが)子が女の子で、男から見向きもされないで、配偶者が得られないことになると、父親としてというか、オスとしては、子孫を残せなくなるので、大いに困る。それで、無意識に、男は均整のとれた顔の女人をキレイと感じ、フラッとなるらしい。(『平然と車内で化粧する脳』扶桑社文庫 参照) ということは、私も私の友だちのあいつもこいつも、かなり偏った美意識の持ち主だったということになるのか。それとも博愛主義者か?
 
顔には、男顔と女顔があるらしいが、冬ソナの四様というのも典型的な女顔だ。あの手の二枚目は、近頃の日本ではあまり見かけない。どちらかというと長谷川一夫系の男前だ。「自分のご面相を棚に上げて、よく言うよ」とつっこまれそうだから、この話題はこれくらいにしておく。
 
映画の話から思いっきり遠いところに行ってしまった。ま、この映画評も出たとこ勝負の殴り書きだから、思わぬ方に筆が滑るというか、キーボードをミスタッチするというか、どこ行くのか私にもよく分からん。
 
ところで、映画の冒頭に出てきた、ごっつい像(銅像だはなくてコンクリかなにかで造ってある彫刻のでっかいやつだ)は、まるで紙粘土の木こり人形を思い切り引き延ばしたみたいな稚拙な感じの巨像で、そのでかさに仰天してしまった。太陽の塔も間近で見るとかなりでかいが、この人形はでかいだけじゃなくて、へんちくりんなフィギュア感が横溢している。この間抜けな巨像となにもない雪原と例のミンシングマシーンを観るだけで、この映画は一見の価値がある。
 
おまけ
この映画で、アカデミー賞の主演女優賞をとったフランセス(フランシスかも)・マクドーマンドは、インタビューで「12年間の女優生活で、はじめて監督と寝てもらえた役だ」とジョークをかましていたらしいが、監督の嫁さんなんだから、そりゃあそうだろ。こんな田舎町で、警官殺しと連続殺人事件が起きたら、街中パニくって、すぐに合同捜査本部が出来るんじゃないか。普通はFBIも出っ張って来るはずだ。署長自らうろちょろ捜査したりしないだろ。ついでにもうひとつ、冒頭で実話に基づいているとか何とか言っておきながら、どうもフィクションらしい。コーエン監督も手の込んだことをする奴だ。
 
ファーゴ (1996)アメリカ FARGO 
出演:スティーヴ・ブシェーミ、ウィリアム・H・メイシー、フランセ(シ)ス・マクドーマンド、 ピーター・ストーメア、ハーヴ・プレスネル