2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『蝶の舌』は、話がすうすうしているうちに、最後の場面まで来てしまった。

この映画、久しぶりに観てるうちに居眠りをしてしまった。何とも脈絡のない話が続くじゃないかと思っていたら、やはり、マヌエル・リバスという作家が書いた原作の映画化で、しかも、原作は16の短編から出来ていて、そのうち「蝶の舌」「カルミーニャ」「霧…

『チョコレート』は、ビターなだけじゃなく、ブラック&ホワイトのミックスチョコだった。

何しろ邦題が『チョコレート』だ。なんの予備知識もない純な私は、スイートなラブストーリーだろうと思っていた。ところが、どっこい、かなりビターなチョコだった。ビターなだけじゃなく、ブラック&ホワイトのミックスチョコだった。 これはまあ、ハル・ベ…

『風の谷のナウシカ』は、固いことを言わずに、ニコニコしているのが、大人の鑑賞法のようだ。

宮崎アニメの最高傑作は、この『風の谷のナウシカ』か、それとも『天空の城ラピュタ』か、意見が分かれるところだろうが、こちらの方が好きかな。20年前の作品とは思えない。『千と千尋の神隠し』より100倍いい。ストーリーに奥行きがあり、強いメッセ…

『イン・ザ・ベッドルーム』は、ポルノチックなラブストーリーかと勘違いするが、まったく正反対だった。

このタイトルで、このDVDパッケージだったら、ポルノチックなラブストーリーかと勘違いするが、まったく正反対というか、お色気なし、オフザケなし、踊りなし、(ただし、歌少しあり)、スリルなし、サスペンスなし、どんでん返しなし、なし、なし、なし…

『レオン』は、映画のツボをことごとく押さえた演出だから、つっこみを入れている暇がない。

さすがにリュック・ベッソンはプロの映画監督だ。前回の『都会のアリス』の映画評で、少女と男の道行きものでは、『レオン』の方が100倍いいと書いた手前、もう一度見直して、どこがどういいのか、きちんと検証してみた。 ジャン・レノ扮するイタリア系ヒ…

『都会のアリス』は、映画そのものが、落書きみたいなものだと思った。

ヴィム・ヴェンダースのロードムービー3部作の第1作にして、傑作の呼び名にまた騙された。同じ監督の『パリ、テキサス』は、パリからテキサスまでの旅の話だと思っていたら、そうじゃなかったが、この映画は間違いなくロードムービーだった。何しろ、アメ…

『ジョンQ-最後の決断-』の最後の決断は、ぶっ飛びすぎじゃないかと思う。

確かにまじめに働いていたのに、会社の勝手な都合で医療保険の保障のランクを落とされて、「お子さんの心臓移植手術は、あなたの会社が加入している保険ではできません」と言われたら、途方に暮れるな。アメリカは医療費がべらぼうに高い。しかも、公的な医…

『恋愛小説家』のジャック・ニコルソンが、何にでも必ずケチをつけるのは、それなりに正しい親爺の態度だと思う。

ジャック・ニコルソンとヘレン・ハントのアカデミー主演賞ダブル受賞の作品だから、観ても別に損はない。「ハーレクイン・ロマンス」か、なにかの恋愛小説を専門に書いている作家役のジャック・ニコルソンの毒舌が小気味よい。何にでも必ずケチをつけるとい…

『フィッシャー・キング』は、テリー・ギリアムにしては、わりとまともだった。

こういうキリスト教の伝説とかに基づく映画は、異教徒にとっては根本のところがよく分からないのだが、ま、悲惨な出来事によるふたりの主人公の精神障害(ひとりは現実逃避&幻視症、ひとりは対人恐怖症か)からの復活と癒しの映画なんだろう。もうひとり、…

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』は、ディカプリオの若作りが異様に決まりすぎいて、気持ち悪かった。

日本人に限らずアジア系(モンゴロイド)は、欧米人に比べて若く(子供っぽく)見られがちだが、あれは、モンゴ ロイドは脳の前頭連合野が未熟なままで生まれてくるからだという話を『平然と車内で化粧する脳(2000年9月扶桑社刊)』で読んだ。 この本の…

『北京ヴァイオリン』は、誰にも感情移入できないまま、ラストにたどり着いてしまった。

貧乏父さんのリウ・ペイチーが、ヴァイオリン抱えて生まれてきたような天才少年の息子を「何とかして一流のヴァイオリニストにしたりたい。いい音楽の先生をつけて中国音楽界に華々しくデビューさせたりたい」と、一念発起して息子共々北京にやって来るが、…

『ゴースト・ドッグ』のように設定が適当な映画は珍しい。

何とも奇妙な設定を思いついたものだ。ニューヨークに住むアフリカ系アメリカ人の殺し屋が日本の武士道マニアで、しかも、伝書鳩愛好家というのだ。そいつの主人(と勝手に思いこんでいる)がマフィアで、そいつの指令で、一手に暗殺を引き受けている。唯一…

『ムーラン・ルージュ』は、悲恋のペーソス感がまったく感じられなかった。

こういうミュージカル映画はきれい・楽しいだけで満足しろというのかも知れないが、金が掛かっている割にストーリーがお粗末すぎた。◆◆ネタバレ注意◆◆だいたい労咳病みで、もうすぐ死ぬかという女があんなに大声て歌ったり、そこいら中を駆け回って踊ったり…

『バンディッツ』は、つっこみだしたら切がないが、監督もそんなことは百も承知分で撮ってたのだろう。

犯罪映画とはいうものの、人は殺さないし、激しい格闘シーンもないし、裏切りも、密告も、なにもない。想定外のハプニングといえば、交通事故くらいだ。しかし、こんなに調子よく犯罪が成就したら、しょっと白けるのも事実だ。 絶体絶命、危機一髪の一つや二…

『めぐりあう時間たち』は、いかにも女受けを狙ったタイトルだ。「時間」に「たち」なんかつけるな。

この映画、なんの予備知識もなしに観たので、なにこれ?と思いながら最後まで観てしまった。3つの時代と3つ場所で、映画的には同時進行で進んでいく3つの話が、それぞれ呼応してるのだろうとは思っていても、繋がりが分かりにくかった。最近の映画でよく…

『甘い生活』という、いかにもデカダンムードいっぱいのタイトルに騙された。

『甘い生活』という、いかにもデカダンムードいっぱいのタイトルに騙された。やはり甘い話には気をつけないといけない。この映画、公開当時イタリアで物議を醸し、そのおかげで大ヒットしたらしい。日本もまだまだヨーロッパの巨匠崇拝の時代だったから、結…

『東京物語』は、地方出身者弾劾映画だったんじゃないか?

戦後の小津作品のなかでナンバー1の評価を得ているが、正直少々疑問。というより、この映画の評判が高いのは、外国人監督が贔屓にしてるからで、われわれ日本人の濁りのない目から見たら、外人さんは甘いとしか言いようがないというのが、本稿のスタンスだ…

『フェリーニの8 1/2』は、いわば私小説の映画版、私映画になっているところがミソだ。

なるほど、この映画の前に監督した映画が8本と半分(共作が1本あるので、それを1/2とカウントしている)あったから、この題をつけたのか。洒落たことをするもんだ。 この作品は、フェリーニの最高傑作と言われているが、DVDを観ているうちに、てっきり…

『ショコラ』は、最初はビターで、そのうちセミスイートになり、ラストは甘甘のホットチョコレートだった。

主人公のジュリエット・ビノシュは、老けた『アメリ』のようだ。顔も何となく似ているが、やることもそっくりだった。といっても、こちらはさすがに小娘じゃないから、あまりにもくだらないいたずらはしない。ちょっとしたお節介程度だ。 チョコレートは胸焼…

『バグダッド・カフェ』には、映画の見せ物性が残っていた。

DVDのパッケージには、主人公のジャスミンがモハド砂漠のバグダッド・カフェに舞い降りたとあったが、実際はトランクを引きずって歩いてやって来た。私自身はデブ専というのではないが、ぽっちゃり系の女の人が嫌いではない。もう決して若くはないドイツ人中…

『ナイト・オン・ザ・プラネット』は、映画のショートショートというか、小話のよううなものだった。

またぞろジム・ジャームッシュだ。今回は『ナイト・オン・ザ・プラネット』。この映画は5話からなるオムニバスもので、映画のショートショートというか、小話のよううなものだった。英語では、スライス・オブ・ライフか?! この手の監督は、起承転結の必要…

『けだもの組合』は、話の途中に無関係なコントが挟まっているという感じだった。

マルクス・ブラザースの喜劇映画だが、いまいちついて行けなかった。いつものようにグルーチョは相手役をコケにしまくっているし、ハーポはエキセントリックなギャグを連発するし、チコは器用にピアノを弾くし、ザッポは相変わらず無芸だしと、それぞれまあ…

『ダウン・バイ・ロー』は、「いいかげんにせんかぁ」というくらい、監督のご都合主義が目立った

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』に出ていたジョン・ルーリーが、間抜けな女衒の役でまた出ている。よほど監督のお気に入りなんだろう。ま、あんなに容貌魁偉な役者は、アメリカ中探してもそうはいないだろ。それに『ライフ・イズ・ビューティフル』の…

『デッドマン・ウォーキング』は、尼僧の行為にガツンとどやされた感じだった。

無償の行為にぐっと来る方だが、この映画の尼僧の行為はぐっと来るどころか、ガツンとどやされた感じだった。アメリカの裁判制度および死刑囚への対応が、実際にこの映画のようであるのかないのか、詳しくは知らないが、どんな犯罪者にもその犯罪者の側に立…

『勝手にしやがれ』は、55年もののヴィンテージだが、どこも腐っていなかった。

ジャン=リュック・ゴダールの長編商業映画デビュー作だ。この映画を初めて観たのは、多分1970年前後じゃなかろうか。どこかの名画座だった。ゴダールの名声は映画好き青少年の間では、神様のような存在として定着していたが、ゴダール本人はさらなる革…

『ジョー・ブラックをよろしく』ほど水増しした映画というのは珍しい。

あの人喰いハンニバル・レクターのアンソニー・ホプキンスも出ている映画だから、もう少しましな映画かと思ったら、何とも人を喰った映画だった。しかも、長すぎる。3時間もかけないと表現できないような込みいった話じゃないだろ・・・。 コーヒーショップ…

『ゴールキーパーの不安』は、ワケの分からない前衛小説を原作にして、分かりやすい映画になるはずがない。

また性懲りもなくヴィム・ヴェンダースを観てしまった。それでもまだDVDが9本も残っている。酔った勢いで、ネットオークションでまとめ買いしてしまったのが、そもそも間違いだった。 しかし、この劇場用長編デビュー作で、あ奴は一体何が言いたかったのか…

『シカゴ』は、最後の舞台のシーンを愉しむだけで、充分元をとった気になる。

キャバレーもの、ダンサーものといえば、ご贔屓はライザ・ミネリの『キャバレー』だったが、この映画もかなりよかった。同じダンサーものでも『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は、なんともはやダーク&ヘビーなお話で、唯一の救いはこれも『シェルブールの雨…

『至福のとき』は、大人のファンタジーと言ってしまえば、身も蓋もないのだが・・・。

『初恋のきた道』のチャン・イーモー監督の「しあわせの3部作」の最終章とDVDのパッケージの裏面には書いてあるが、心温まる感動と涙の物語ではなかった。ま、心が冷え冷えすることもなかったが、感動作ではないし、幸せにもならなかった。 落語というか、…