2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『スタンド・バイ・ミー』は、キムタクには先天的になれなくとも、いい奴にはなれることを教えてくれる。

この映画の主題歌は、ジョン・レノンが歌ったカバーバージョンが特にお気に入りだが、ベン・E・キングのオリジナルもいい感じだ。スティーブン・キングの原作も結構よかったが、この映画の方がもっとよい。映画の主役は、ゴーディ役のウィル・ウィートンだろ…

『アイ・アム・サム』は、しんみり泣ける話だが、こういうシチュエーションの場合は泣かない。

この映画はビートルズナンバーがふんだんに聞ける。 ビートルズ好きにはこたえられない映画ではある。ビートルズは中学2年の秋に日本デビューした。最初に聴いた"Love Me Do"がボディブロウ気味に効いているところに、次の"Please Please Me…

『ロード・トゥ・パーディション』は、ヒットマンを変質者にしたから、ヒットしたんだと言われたら、黙るしかない。

元々、ポール・ニューマンがお目当てで観ようと思ったのだが、全然ギャングの親分には見えなかった。平気で人殺しを命じるような性根の腐った屑男の感じがしない。やはり人品骨柄の問題だ。ポール・ニューマンは汚れ役に向かない。トム・ハンクスもインテリ…

『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』の犬の鳴き真似で非情な現実に精一杯抗議するシーンに胸が詰まった。

スウェーデン映画というと、かつてはイングマール・ベルイマンだったが、最近はラッセ・ハルストレム((舌咬みそうな名前だが)らしい。といっても、この映画まではスウェーデンで製作されていたが、これ以後はアメリカに渡って製作しているから、アメリカ映…

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』ほど辛気くさい映画を撮る監督も監督だが、観る方も観る方だ。

『パリ、テキサス』は、まだテキサスリーガースヒットだったが、この映画はまるっきり淡々狸映画だった。いかにもロードムービー、なんとニューヨークから五大湖畔のクリーブランドまで車で出かけて、とんぼ返りで南のフロリダまで激走するのだから。かと言…

『パリ、テキサス』は、てっきりパリからテキサスまでの長い旅路の物語だと思いこんでいたら大違いだった。

今回はロードムービーのもう一方の雄、ヴィム・ヴェンダースの『パリ、テキサス』だ。ありゃ、これ西洋股旅物と違うの?この題名にだまされて、てっきりパリからテキサスまでの長い旅路の物語だと思いこんでいたら、大違いだった。タイトルをよく見ると『Par…

『ノー・マンズ・ランド』の事態を悪化させたのは、悪魔の兵器といわれてる地雷だ。

ボスニア軍とセルビア軍が睨み合っている「ノー・マンズ・ランド」と呼ばれている中間地帯の、そのまた真ん中の塹壕に取り残されたボスニア軍兵士のチキとツェラとセルビア軍兵士のニノの3人が主要な登場人物だ。この映画のセルビア軍側は装備もわりにきちん…

『カサブランカ』は、思わず『ボギー!あんたは男だ』と叫んでしまいそうになった。

『カサブランカ』直訳すれば「白い家」。地名だから「白屋敷」とでも呼ぼうか。別に漢字を当てる必要はないけれど、ニューヨークを紐育と書いたり、桑港、華盛頓、倫敦、巴里、伯林など、都市名の当て字が結構ある。阪急電車の宝塚線には「雲雀丘花屋敷」と…

『デッドマン』は、「ええっ、何すんのん?」の連続だった。

開拓時代の西部を舞台にしているが、この映画を異色ウエスタンと片づけるには変わりすぎている。ほとんどカルト教団のプロモーションムービーだった。少なくともその手のにおいがぷんぷんしている。この映画の世界に引き込まれるような連中が、あの教団にも…

『ルパン三世 カリオストロの城』は、可憐なだけの女の子像を生みだした宮崎駿も罪作りなおっさんだと思った。

近頃、若い男の間で結婚相手に「お姫様願望」があると何かで聞いたが、このアニメを観るとその意味がよく分かる。と言っても、このアニメができたのは、今から35年以上も前だが、確かにこのアニメのヒロインのようなな可憐な乙女なんかこの世にいるはずが…

『ファントム・オブ・パラダイス』は、デ・パルマ監督の風変わりさが前面にでた映画だった。

全体にかなりいい加減で、かなりグロなのだが、下品というほどでもないという微妙なバランス感覚があった。「オペラ座の怪人」を奇才デ・パルマ監督がロックミュージカルに風アレンジした異色作という前評判で観たのだが、確かに異色だった。全体の印象とし…

『リバー・ランズ・スルー・イット』は、釣りのシーンだけを眺めるでもなく眺めていると、心が喜ぶ。

フライフィッシングを始めて、かれこれ40年近くになる。近頃は体力的に渓流の遡行がきつくなってきたのと、あまりにも魚が釣れてくれないので、フライフィッシングに出かけるのは極端に少なくなってしまった。というか、この4・5年は釣行していない。 そ…

『ガープの世界』は、いたってノーマルな男が蒙ったとんでもない悲劇だ。

何はともかく、昨年亡くなった故ロビン・ウィリアムズ氏の冥福を祈って、黙祷。希代のコメディー役者が、私生活では、「『禁酒状態でうつ病と初期のパーキンソン病と闘っており、パーキンソン病について公表する準備ができていなかった』と奥さんが告白して…

『マトリックス・リローデッド』は、何じゃこりゃの連続で、「あほらし屋の鐘」の連打だった。

マトリックスの続編である。スローモーションとファストモーションの連続である。最大の見せ場はカーチェイスのようだが、◆◆ネタバレ注意◆◆これがまぁ、不死身の追っ手から逃げるという不条理なもの。ほとんど「シジフォスの神話」状態だ。 相手は弾が当たり…

『戦場のピアニスト』は、当事者目線のカメラワークが秀逸だった。

この映画は、ユダヤ系ポーランド人のピアニストの回想録を元にした映画で、しかも、戦後すぐの時期に書かれたものだから、自身が体験した事実が生々しい記憶として記されていたらしい。 絶体絶命の危機に瀕して、生き残る人と死んでしまう人が厳然としてある…

『ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ』には、目指すべき爺さんライフがあった。

う~ん、このドキュメンタリー映画(?)はつっこめない。よすぎる。どうしてこんなにいいんだ?人生とは死ぬまでの暇つぶしだと看破した御仁がいたが、この映画にでてくる老ミュージシャンたちは、音楽を伴侶に人生を楽しみ尽くして死んじゃった(ギタリストで…

『アメリ』で、私は、幸せにならなかった。

観る人みんなが幸せになる“アメリ現象”というのを起こした映画らしいが、私は幸せにはならなかった。この小娘のいたずらがまわりの人々に幸せをもたらしたのかもはなはだ疑わしい。この手の映画を「アメリがかわいかった」とぬかす若い奴も大いに疑わしい。…

『たそがれ清兵衛』は、『たそがれ清兵衛』というタイトル自体をやめるべきだった。

さて今回は『たそがれ清兵衛』だ。山田洋次監督初の時代劇ということで期待したが、結論から言うと「なんじゃこりゃ?」だった。まず、最後まで「がんす言葉」になじめなかったのがひとつでがんす。藤沢周平の原作を先に読んでいたのがまずかったのか、原作…

『ライフ・イズ・ビューティフル』は、「ちょっと調子よすぎるのと違うか」という展開だったが・・・。

映画評論とまではいかなくとも、ネタバレさせずに映画の話をしようとすると、これが実に難しい。感動した部分や気に入った部分、おもしろかった部分をストーリーの説明を一切せずに語るのは至難の業だ。「エンディングさえバラさなかったらいいんじゃない」…

『初恋のきた道』は、雪の降りしきる葬列のシーンで、思わずうるっと来てしまった。

亡くなった村の小学校の老教師の遺体を村まで担いで帰って来るシーンで号泣していた。この映画は、往年の可憐さのかけらもないしわくちゃのおばあさんになっている(もう少しかわいらしい婆さん女優にした方がよかったんじゃない・・・)主人公が村娘のころ…