『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』は、ワルの数珠つなぎだった。

◆◆ネタバレ注意◆◆この映画、ヌードダンサーとカード賭博のディーラー役のおばさんと突然マシンガンを乱射したおねえさんの3人以外は、男しか出てこない。しかも、ワルばっかりで、一部を除いて、ほとんど殺されてしまうのだ。
 
しかし、ワルの数珠つなぎというか、因果応報というか、殺しのドミノ倒しというか、いずれにしても、ワルがワルを殺してるだけだから、警察もあまり真剣に捜査しなかった。それにしても、うまいこと話の辻褄合わせをしたものだと感心してしまった。主役の若造4人組は、骨折り損のくたびれ儲けになったんじゃなかと思わせておいて・・・。槍折るわ、この監督。
 
複数の話が同時進行する構成なので、最初のうちは話が見えにくい。そのうち、大きく7つのチーム+1人の出演者グループがあることが分かってくる。第1は労働者階級出身の4人組の若造だ。第2はマリファナ栽培をやっているパブリックスクール卒のぼんぼんチーム、第3はそのマリファナの横取りを狙うギャングチーム、第4はポルノグッズの販売もしている、いかさまギャンブラー(この親爺は、アンティーク銃のコレクターでもある)とそのボディガード(斧使いだ)、第5はこのギャンブラー専属の博打の債権回収屋の親子、第6は郵便局専門のちんけな泥棒2人組、第7はマリファナの販売を仕切っているめちゃ切れやすい麻薬王とその子分たち、最後に、盗品専門の故買屋で、第1の若い衆グループが商品を仕入れたり、盗品を売ったりしてる男だ。◆解除◆
 
こんなに多勢の登場人物がいたら、人物相関図を画面の下にでも出しておいてもらわないと、どういう話だったのかよく分からないままに、エンドロールを迎えてしまいそうだ。腹を立てながら映画館を出て行ったお客さんも結構いたんじゃないか?
 
ところで、この映画の監督のガイ・リッチーはイギリス人で、この前の『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』のトーマス・ヤーン はドイツ人で、ブラジル代表の『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレスと、ハリウッドとは違う毛色の映画を撮っている若手監督が結構いるのだが、いずれもクライムものというか、40年以上も前に、ジャン・リュック・ゴダールが撮った『勝手にしやがれ』とよく似た演出手法の、はちゃめちゃ無鉄砲話だ。ということは、やっぱりゴダールは凄かった、ということだろう。
 
悲しいかな、どこが訛っているのか、きちんと聴き分けられるほどの語学力も英語耳もないのだが、ロンドン訛りというのか、デイ(DAY)はダイと言っているように聞こえた。しかし、イギリス人でも、何をくっちゃべっているのか分からない会話部分があったみたいで、一部分英語の字幕が入っているのが笑えた。ニューヨークのアフリカ系アメリカ人のスラングも相当意味不明なのが多いらしいが、ロンドン子もほとんど連想ゲームみたいなややこしいスラングを使うみたいだ。
 
しかし、日本の女子高生も、意味不明の若者言葉使いまくっているみたいだから、洋の東西を問わず、若い衆はしょうもないことで自己主張をしたがるということか。
 
ところで、私が普段しゃべっている言語は、河内弁とは違って、大阪(市内)弁だ。ワレとか、オンドレとかのお下品な人称代名詞も、ナニヌカシテケツカンネンとか、ドタマカチワッテ、オクバギシギシユワシタロカなんかの柄の悪いフレーズも、ナンデンネンとか、ソウダンネンとか、ヤリマンネンなどのネンネン語尾も、さらに、デッシャロ、デッセ、デンガナといったデッ頭語も、これまでの人生で使ったことはアマリない。大阪弁は、どうしてもお笑い芸人によって全国に広まったキライがあるが、なんとか美しく、品性があり、知的な大阪弁を広めたいと思っているのは、果たして私ひとり・・・やろな。
 
ええっ、この監督、マドンナの旦那さんだったの?しかし、というか、やっぱり、2008年に離婚していた。
 
Lock Stock & Two Smorking Barrels (1998) イギリス  
出演:ニック・モラン、ジェイソン・ステイサムジェイソン・フレミングスティング、スティーヴン・マッキントッシュ